チャンドマニ
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風の旅行社
チャンドマニ×風の旅行社 コラボレーション企画
2011年夏、監督とチャンドマニ村まで映画を上映しに行く16名様限定キャラバンツアー決行!
大阪発:2011年7月19日(火)〜7月29日(金) 11日間
東京発:2011年7月20日(水)〜7月29日(金) 10日間

アジア・中南米などを中心に独創的なツアーを手がけている風の旅行社と、映画『チャンドマニ 〜モンゴル ホーミーの源流へ〜』が手を合わせて、「チャンドマニ村へ映画を上映しに行くツアー」を2011年夏に実施します。

映画さながらの小型バスに乗り込み一路西へ向かう旅は、満天の星空をあおぐ草原に泊まり、共に食し語り合いながら、やがてアルタイの連なる山々まで…
観光ツアーでは味わえない彼の地の姿を“体で感じる旅”を目指します。亀井岳監督が初めて旅で「映画を撮りたい」と感銘を受けたモンゴルへ、一緒に飛び込んでみてください。

モンゴル初心者の方、何度も訪れている方、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
■お問い合わせ先:0120-987-553(風の旅行社)

スケジュールや料金等の詳細ついては、以下よりご覧ください。
http://www.kaze-travel.co.jp/mn-sp-14.html
11.06.28:
【コラム】
いよいよチャンドマニツアーはじまる!
旅の楽しみ、旅の注意


文・木本文子


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前回もお見せしたチャンドマニ村の風景ですが、この村の象徴ともいうべきジャルガラントハイルハンという山を、アップにしてみました。村の西にあり、標高は3793m。とまあ、富士山ぐらいです。ちなみにジャルガラントは「幸あり」、ハイルハンは「聖なる山」という意味で、ありがたい名前です。山頂あたり、うっすら白いのは雪ですが、これは万年雪ではなく、前夜、降った雪です。7月下旬ですけど。
山麓では雨でしたが、山頂近くは雪になったのです。もっとも、この日お天気がよくて、すぐとけちゃいましたけど、真夏に雪が降るなんて、海抜0m近くに暮らす我々には、ちょっと感動ものじゃないでしょうか。

ホブド県内を、アルタイ山脈が縦断しており、このジャルガルトハイルハン山も、その支脈にあたります。ここからさらに西へ行けば、ほんものの万年雪や氷河のある4000m級の山が、ジャンジャン見られます。今回のツアーで見られるかもしれないのは、この山。ソタイ山といいます。

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青い山の向こう、白い雲の下、なだらかな頂上が、一面雪に覆われているのが、わかりますか? これ、全部ほんものの、万年雪です。撮影は、やはり7月下旬です。
このツアーは、ウランバートルから1400kmぐらい走っていくわけですが、この山は、東隣のゴビアルタイ県とホブド県の県境にあります。ですから、道中、この山が、拝めると思います。行く手の左前方から近づいてくるので、注意してみましょう。ちなみに標高4090m。この山はこのあたりの住民が信仰している山で、4年に1回、大きなお祭りをするそうです。
クソ蒸し暑いニッポンを抜け出して、こんなありがたくて涼しげな風景みるだけでも、このツアーに参加する意義アリ! じゃございませんか。

こうした高い山があるところで、気をつけなければいけないのは、トイレです。山の頂上に向かって、トイレをしてはいけません。山の主が怒ります。そんなもん見せるなよ、失礼な! って。トイレのこと、みなさん心配でしょうね。映画にもあったように、食堂があつまっているところでは、ああいう小屋のようなトイレが常設されてますが、まあ、映画の中でダワースレンさんが敬遠していたように、キレイ好きの人には「ちょっとごかんべん」かもしれません。

遊牧民はだいたいの場所を決めて、のっぱらでしますが、これがいちばん気持ちいいです。恥ずかしいと思われるでしょうけど、そういうところをのぞきこむ趣味は、モンゴルの人にはないですから、あまり気にしなくて大丈夫ですよ。人間だから、するのは当たり前、何が珍しいかい? ということです。
たまに、こんな簡易トイレが作られている場合もあります。立つと、お尻が見えそうですけどね。

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道中は、どのみち、のっぱらですることになりますが、そのとき便利なのが、モンゴルの伝統衣装のデール。帯をといてぶわっと広げてすわれば、あ〜らすてきな簡易トイレ。風のある日は、とびちらないようにご注意を。お腹をこわしているときも。手でうまいこと広げながらやるんですね、モンゴルのみなさんは。そのためにウランバートルでデールを買っていくこともないですけど、まあ、ひざ下ぐらいの長いコートがあれば、便利ですよ。

山の話から、トイレの話に流れてしまいましたが、流れついでに、道中つらいのは、もうひとつ、車酔いでしょうね。今回の道は、半分近くは舗装路ですが、工事している所もあるでしょうし、後半、村につくまでは、ひたすら大平原を走ります。平原はなだらかと思ったら大間違いで、けっこう凸凹で、いわゆる「チンサムロード」満載です。フワッときたあとのドーンで、頭を車の天井に打ち付けないように、しっかりつかまってください。車は、映画と同じ、ロシア製のワンボックスカー、通称「プロガン」です。これが、クッションかたいんだわ。もともと人が乗るために作られてませんから。
で、モンゴル式車酔い止め方は、これ。

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何だかわかります? おへそを、セロテープでバッテンして、フタしているのです。おへその中に小石を一個つめるのが、ミソ。効くかどうか、ぜひ試してください。酔ってしまったときの薬は、モンゴルウォッカ「アルヒ」を、一口ぐいっとあおるのです。小さいお猪口一杯分ぐらい。私は車酔いしないし、お酒も苦手なので、やったことはないですが、学生は「効きました。一発で気分よくなった」と言ってました。車酔いが酒酔いになって気分よくなっただけじゃないかと思ってますけど、私。

クッション悪くて、音もでかくて、ドアは思いっきり叩き付けないと閉まらないし、すきまから砂ぼこりが入ってくるし、窓もほとんど開かないし、なかなかつきあうのが大変な、このプロガンという車ですが、やはりモンゴルの田舎を行くには、いちばん強い味方なんですよ。
まず、こわれても、必ず直る。これはモンゴルの運転手に特殊な「技」があるからです。部品も、どこででも調達できます。そして道中、

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こんなことも、はたまた

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こんなことも、あるかもしれませんが(映画でも雪にはまってましたね)、みんなで力を合わせれば、大丈夫、抜け出せます。こう見えても、四駆ですからね。ランクルとか、乗り心地はいいけれど、電子系統やられたら、お手上げ。田舎では部品もないし、修理もできません。プロガンばんざい!

車のほかに、田舎でお役立ちの乗り物は、やはり馬。なにしろ燃料の心配がいらない。道々補給しながらですからね。チャンドマニ村についたら、乗ってみるチャンスもあるでしょう。背が低く、足もがっちりで、乗りやすいです。抜群に賢いし。ま、馬のことは、みなさん、よくご存知でしょう。

意外に、「エッ、モンゴルで?」なんて思われがちなのが、ラクダさんです。モンゴルの「五家畜」に、ちゃんと入っているのにね。見たことないけど、野生のラクダも生息しています。旧石器時代(15000年以上前)の岩絵にも、ちゃあんと、フタコブのラクダが描かれているんですよ。モンゴルはラクダの産地なのです。ラクダは偉い。体の中で水を作ってしまう。だから水を飲まなくても、熱中症ならない。えらいやっちゃ。100kgぐらいの荷物が運べるし。人の二人や三人、へいちゃらさ!

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ただし、ラクダさんには、すわってもらって乗り降りしますが、立ったりすわったりするとき、前後に大きくゆれますから、おっこちないように、コブにしっかりつかまってください。
そういえば、ジャルガラントハイルハン山の谷を奥深く入ったところに、「ラクダ岩」というのがあります。

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どうでしょう。真ん中の岩、上の写真にそっくりじゃありません? 頭は左向き、こぶの間に、人が乗っていて。ここへは、村のセンターから、前回紹介した岩絵のあるハブチグという丘を通って、行くことができます。20kmぐらいかな。山の谷といっても、登っていくような険しい道ではないので、プロガンくんに乗っていけば、楽勝で行けます。さらに進むと、鉱泉(冷泉)もあります。

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ふつう鉱泉って、下から湧き出るものですけど、ここのは、上からしたたり落ちてきます。その名も「しずくの鉱泉」。冷たくて、おいしいです。そんなに特別なにおいとかは、しません。
そして、ふっと右を見ると、山肌になぜか、ひらがなの「け」の字が…。

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わかりますか? 画面の真ん中です。崖が削られて、偶然なんでしょうけど、不思議ですね。

さて、もっといろいろ書いて、みなさんをツアーにいざなおうと思ってましたが、これくらいになってしまいました。これもひとつ、震災の影響です。いや、ホント。大変な思いをしている方が大勢いらっしゃるなかで、遊びに行ってもいいのだろうか?と思わないでもないでしょうが、違う環境にどっぷりつかって、日本を見つめなおすことも、よりいい形の復興支援につながるかも…なんて、エラそうに、すみません。

では、わたくし、一足お先にモンゴルへ参ります。みなさんのおいでを、お待ち申し上げております。
ダヒン・オールズヤー、バヤルタイ! 
(このモンゴル語の意味を知りたい方があれば、チャンドマニ村でのみ、質問を受け付けます!)


【木本文子プロフィール】
1961年生、広島県出身、広島市在住。広島大学学校教育学部卒業。日本語教師。1992年冬、民主化まもないモンゴルを訪れた際、自然と人と文化に魅了され、モンゴル在住を決意。2003年9月、ホブド大学観光日本語科開設に伴い、ホブド県に移住。09年まで通算14年間、4つの大学で日本語を教える。教え子であるザヤーが『チャンドマニ」出演という縁で、在校生とともに翻訳作業に参加。
11.04.24:
【コラム】
見れば見るほどおもしろい!
チャンドマニ村の岩壁画


文・木本文子

『チャンドマニ』の字幕翻訳/監修をしていただいた木本文子さんは、チャンドマニ村のあるホブド県で日本語教師として長年暮らしていました。モンゴルについて豊富な知識をもつ木本さんに、日本であまり知られていないチャンドマニ村の魅力を紹介していただきます。


この夏、チャンドマニ村へ行って映画「チャンドマニ」を上映しよう!というツアーが企画されていますが、みなさん、もう参加申し込みされたでしょうか?
映画の風景は冬ばかりだったので、チャンドマニ村ってどんなところ?と不安に思う向きもあると思いますが、夏はこんな風景です。

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遠くに見えるのは、「ジャルガラント・ハイルハン」という山。ハイルハンというのは、山の尊称で、モンゴル各地で、その土地の人にとって「神」とも言える山に付けられています。「かんなびやま」って感じでしょうか。ちなみにジャルガラントは、「幸ある」という感じ。この山の雪解け水が川となり、泉となり、おかげでこのあたりは緑が豊かです。
さて、そのジャルガラント・ハイルハンのふもとにある小さな丘に、こんなものがあります。

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おわかりでしょうか。岩壁画(岩絵)です。右の方に立派な角の鹿、真ん中辺に、グルグル巻き角の野生の羊アルガリくんもいますね。これは、青銅器時代(紀元前2000年期〜)のもの。・・・モンゴルの歴史は、チンギスハーンでやっと始まると思ってません?ま、それもハズレとは言いませんけど、「モンゴル高原のヒト」の歴史は、80万年前(旧石器時代前期)からなのです。そのころって、我々ホモサピエンスが登場する以前ですよね・・・石器、住居跡、人骨など数々発掘されているそうですが、わたしのような素人が見ても面白いのは、こうした絵だったりします。

岩壁画がある丘は、「ハブチク」という所で村のセンターから5kmぐらいなので、現地の人を案内人に、お散歩がてら行ってみるのも、一興でしょう。この大岩だけでなく、そこここの小岩にも絵がたくさんあるので、自分でお気に入りを発見するのも、また楽しいです。
ということで、チャンドマニ村のものばかりじゃないんですけど、ホブド県内各地で見られる古代人の芸術作品を紹介しちゃおうと思います。

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左の岩なんて、みんなで競い合って描いている感じですね。時代もいろいろなのかも。かと思うと、右の2枚のように、整然と上下に並べていたり。どんな動物が描かれているか、じっくり観察してみてください。やっぱ、アイベックス、アルガリ、鹿など狩猟対象が多いですけど、オオカミっぽいのもいるし。

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上の絵なんて、ラクダの下にイノシシですよ。どういう組み合わせ?右のは、牡牛なんでしょうね。

山羊・羊・ラクダ・ウシ・・・なんか欠けてない?そう、モンゴルの五畜の代表、馬がないじゃん。それに、ヒトは?

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はい、もちろんあります、あります。左のは狩猟の様子のようです。ちゃんと、犬も連れてますね。上にはアイベックス。獲物でしょうか。でも、左のヒトは、前のヒトの頭を殴っているようにしか見えないんですけどね。
そして、騎馬。昔から、ここのヒトたちは、馬とはお友達です。

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さらに時代がくだると、お〜、いろいろ便利なものが発明されてますね。左の絵、わかります?四頭だて馬車を上から見た図です。なんて斬新な視点!右の絵のリアリズムはどうですか。美しい!
・・・と、どの時代のどの絵を見ても、感動してしまうのです。ちなみにこの馬車の絵が描かれているのは、高さ15〜20mの岩山で、壁面いっぱいに、いろんな時代のいろんな絵が描かれていて、そりゃもう、圧巻です。

でも、ここのヒトたちがいちばん好きだったのは、どうやら鹿のようです。

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鹿の絵はいろいろバリエーションがあって、実におもしろい。左上のは、さきほどのチャンドマニ村の岩壁画。ほかにも、ちょいと稚拙なのから、写実的なもの、立ち姿、走る姿、一頭で、群れで、といかに鹿に心寄せていたかが伝わります。いろいろな時代に、いろいろなヒトたちが、工夫をこらし、技を競ったのでしょうか。
そして、鹿はやがて、神格化されるとともに意匠化もされていったようで、ついにこんなものを作るようになります。

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立派な石碑ですね。その名も「鹿石」。うしろに見える石積みは、みなさんご存知のオボーではなくて、古墳です。この鹿石、墓標として、青銅器〜鉄器時代につくられました。やはり、いろいろバリエーションがありますが、ここまで美しいのは、後期のものです。四頭の鹿が縦にきれいに並んで、天をめざして飛んでいくようですね。上の岩壁画の右下の絵と比べてください。似てるでしょう。鼻先がグウッと鳥のくちばしのように伸びているところ、背中のコブ(肩甲骨?)が強調されているところなどは、チャンドマニ村の絵とも共通していますね。
わたしは、モンゴルの史跡の中で、この鹿石がダントツで好きです。斬新で華麗なデザインだと思いませんか?鹿石は、ユーラシアに広がっているのですけど、この時代のものは、統一デザインなんですよね。これがまた不思議。だれが、どうやって広めたんでしょう。

この鹿石と、その絵が何を意味するのか、なんてえことは歴史学者にお任せして、

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素人としては、こんな風景からアイデアを得たんだろうなあ、なんて想像を膨らませて楽しむわけです。草原を走る、これは野生のロバ(モウコノロバ)。群れをなし、列をなして一直線に駆けていきます。野生のロバは、モンゴル語でホラン(フラン)。「モンゴル秘史」(「元朝秘史」小澤重男訳)では、中世モンゴル語の発音にちかく、「クラン」。チンギスハーンの、愛妃の名前です。チンギスハーンの行くところ、どこまでもついてゆき、たしか、最期は遠征先で亡くなるんでしたっけ・・・。チンギスハーンとの愛ひとすじに、一直線に駆け抜けた人生ですか。名前のままですね。

ところで、みなさん、奈良公園の「鹿寄せ」って、みたことあります?係りの人がホルンを吹くと、春日山から奈良公園の草地めがけて、鹿たち、一列に並んで走ってくるんですよ。つい先日見に行ったのですけど、それを見て、また、鹿石を思い出したりしました。山の棲家に帰る時は、また一列に並んで駆け上がっていくんでしょうか。
それと、奈良の車道には、「鹿飛び出し注意」の標識があるんですけど、これに描かれた鹿がまた、どうした偶然か、鹿石の鹿に似ていて、ちょっとビックリ。お近くの人は、ぜひ、見比べてみてください。そういえば、奈良の鹿って、神の使いで、神聖なんですよね。・・・と、無理やり、日本とモンゴルの共通性を見出して、よろこんだりしているわけです。

今回は紹介しませんでしたけど、モンゴル高原の岩壁画は、旧石器時代から残っていて、中には、フランスのラスコーみたいに、洞窟の壁面に、赤や黄、白の土で描いたものもあるんですよ。描かれているのも、ゾウ、ダチョウ、ライオンなど、今のモンゴル高原には生息していないものもあって、興味深いです。

モンゴルは、一度や二度で、すべてを見尽くせるものではありません。チャンドマニツアーを皮切りに、さらに奥深く追求してみませんか。組めども尽きない興味がわいて、知的好奇心がビリビリ刺激されますよ。のんびり馬に乗るだけが、モンゴルじゃない! のです。


【木本文子プロフィール】
1961年生、広島県出身、広島市在住。広島大学学校教育学部卒業。日本語教師。1992年冬、民主化まもないモンゴルを訪れた際、自然と人と文化に魅了され、モンゴル在住を決意。2003年9月、ホブド大学観光日本語科開設に伴い、ホブド県に移住。09年まで通算14年間、4つの大学で日本語を教える。教え子であるザヤーが『チャンドマニ」出演という縁で、在校生とともに翻訳作業に参加。
10.08.20:
ツアー情報ページをオープンしました。今後、詳細が決まり次第、随時更新しています。
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